2012年12月27日

矢倉3七銀戦法 銀損定跡(羽生−渡辺戦)

20121227(テーマ図).png

テーマ図は、2012年12月26日に指された羽生善治三冠−渡辺明竜王戦(第38期棋王戦)。

挑戦者決定二番勝負第1局の大一番。

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1.棋王戦について

棋王戦は、変則トーナメントで挑戦者が決まる。

準決勝からは2敗失格のシステムになり、トーナメントの勝者と敗者復活戦の勝者が挑戦権を
かけて戦う。トーナメントの勝者は1勝すれば挑戦者になれるが、敗者復活戦の勝者が挑戦者
になるには2連勝が必要だ。何回かの改正を経て現在のシステムになったが、公平なシステム
だと思う。

第38期棋王戦の挑戦者決定二番勝負は、渡辺竜王と羽生三冠の棋界最高のカードとなった。
渡辺竜王は1勝で挑戦者、羽生三冠は2連勝で挑戦者になる。

本局は羽生三冠の先手で矢倉となった。

2.テーマ図までの指し手

20121227(基本図).png

基本図以下の指し手
△8五歩 ▲1八香 △4二銀 ▲9六歩
△3三桂 ▲6五歩 △7三角 ▲6六銀
(第1図)

最近は、△6四角のまま待機する将棋が多い。 いわゆる91手組は先手勝ちの見解が定着した
ようで、後手がその変化を避けているのであろう。

第1図で駒組みの頂点に達した。

20121227(第1図).png

第1図以下の指し手
△4五歩 ▲同 桂 △同 桂 ▲同 銀
△5三桂 ▲3四銀 △同 金 ▲5五歩
△4四金 ▲3五歩 △5五金(テーマ図)

第1図で後手は△4五歩と突く。以下、必然的に先手は銀損となるので、銀損定跡と呼ばれて
いる。

テーマ図の局面は前例が7局あり、先手の5勝2敗。羽生三冠は前例を踏襲するか?

3.テーマ図以下の指し手

20121227(テーマ図).png

テーマ図以下の指し手
▲3四桂 △3ー玉 ▲6四歩 △同 角
▲5五銀(第2図)

テーマ図の局面での前例は、すべて▲3四歩。その中には両者の対戦、王座戦第4局千日手
指し直し局が含まれている。

その対局は▲3四歩以下、△4三銀打▲1五歩△同歩▲1四歩と進み、先手の羽生三冠
(当時二冠)が勝っている。これが王座奪回の1局になったのは、記憶に新しいところ。

本局は、テーマ図での▲3四桂が羽生三冠の新趣向。

▲6四歩と突き捨ててから▲5五銀と取るのが絶妙で、これが後で効いてくる。

20121227(第2図).png

第2図から20手ほど進んで第3図。

▲6四歩突き捨ての効果が現れて、▲6三飛成とした局面。

飛車金の両取りで後手玉はすぐに寄りそうに見えるが、ここで渡辺竜王が意表の一手を放つ。

20121227(第3図).png

第3図以下の指し手
△6九銀 ▲同 龍 △6八歩 ▲同 龍
△6七歩 ▲同金上(第4図)

第3図で△6九銀が意表の一手で驚いた。銀のタダ捨てという羽生マジックのような手だ。

△6九銀に対して▲7二竜と飛車を取ると、△7八銀成▲同金△同馬▲同玉△6六桂以下
詰みという恐ろしい狙いを秘めている。

したがって、▲6九同竜と取るが、第4図になってみると中盤に戻ったような局面となった。

ただ、△6九銀は起死回生の一手とはならなかった。

20121227(第4図).png

第4図は先手優勢だが、羽生三冠は勝ちを急がず、落ち着いた指し回しで勝ち切った。

△6九銀を見ただけでも、本局を観賞する価値があった。

4.まとめ

本局は、第2図から第3図の間で渡辺竜王に疑問手がでて、羽生三冠が優勢になったが、
渡辺竜王が正しく指していれば難解な将棋だったらしい。

羽生三冠の感想にもあるように、テーマ図での羽生三冠の新手▲3四桂は成功していなかった
ようだ。

これで、棋王戦の挑戦者決定は年を越すことになった。

挑戦者決定戦第2局は2013年1月7日に行われる。

勝者が郷田棋王に挑戦することになるが、後手番となる羽生三冠がどんな作戦を見せるかに
注目している。






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posted by yamataka at 07:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 矢倉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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